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IPWカフェを開催しました(2024年11月19日)

toki1138

第18回目のIPWカフェのミニレクチャーは、埼玉県看護協会の常務理事である各務初恵さんに講師をしていただきました。各務さんは、現場にいたときから様々な今回のテーマの「看護のチカラ」を発揮されていたとのことですが、特に今回は、看護協会に入ってから社会全体を動かすような大きな出来事の中でどのように「看護のチカラ」を発揮されたかをお話しくださいました。

以下、各務さんのお話を紹介したいと思います。

 

 

1つめは、2019年の年末から始まった新型コロナウイルスの感染拡大です。その時は、多くの人が看護を必要としていました。私は研修で聞いた「どんな時でも看護を必要とする人がいる」という言葉に深く心に刻まれておりましたのでこの考えのもと、私たち埼玉県看護協会は「軽症者の宿泊療養(ホテル療養)支援」に取り組みました。これは感染者に10日間程度ホテルに滞在していただき、症状が落ち着いたことを確認して自宅に戻っていただくまでの対応を行いました。当時は使える医療機器が少なく、頼れるのは各自が持つ体温計1本とホテルに常備する酸素飽和度測定器2台だけでした。そのため私たちが最も頼りにしていたのは電話でした。電話越しに患者さんの声を聞き、その話し方やトーンから「もしかして具合が悪いのでは?」とアセスメントし、防護服を着用して患者さんの部屋に伺うこともありました。この時、看護師として発揮できたチカラは、電話越しに声を聞き、相手が「つらいのか」「寂しいのか」を感じ取ることだったと思います。つまり私たちに出来たのは限られた環境の中で、電話1本を命の綱として活用することでした。この取り組みは、看護師だからこそできたことだと考えています。

 

2つめは今年のお正月に発生した能登半島での大きな地震への対応です。

この出来事も、看護を必要とする人がいる中で、私たちは何ができるかを考え行動した事例です。私たち看護師は「災害支援ナース」という体制を持っています。災害支援ナースとは、災害発生時に現地へ出向き支援を行う役割です。DMAT(災害派遣医療チーム)は医療を中心とした活動を行い、発災直後から出動します。一方、災害支援ナースはDMATの活動が終了した後、1か月から2か月ほど現地で長期的な支援を行います。

埼玉県の支援先は、津波被害を受けた松波中学校と大屋小学校でした。特に松波中学校では、津波の被害が大きく取る物も取り敢えず避難したため足が綺麗ではない方が多かったので、看護師たちは段ボールとビニールを用いて即席の足湯を作り、自衛隊からお湯をもらって足浴支援を行いました。これにより衛生面だけでなく、被災者の心も和らげることができたと思います。この活動は日本看護協会のホームページにも掲載され、他県の看護協会からも注目されました。また、避難所では段ボールベッドを組み立てたり、体操を実施してエコノミー症候群の予防に努めたりしました。また次に来る支援の人たちが快適に活動を引き継げるよう、部屋の清掃や準備も行いました。大屋小学校では、建物は地震の大きな被害を免れていましたが、多くの避難者が集まり支援が必要でした。日赤の医療班が巡回する中、看護師たちは傷の手当てや足浴、洗髪を行いました。さらに、肺炎予防のため、歯磨きや入れ歯の清潔を保つ「おくちコーナー」を設置しました。また履物を室内用と外用に分ける取り組みも、感染防止の観点から早くから始められました。

 

ここでは、2つの事例を挙げさせていただきましたが、私たちは、どのような健康状態であってもその人らしく暮らしていける社会を目指して、日々支援を行っています。この取り組みについては、日本看護協会のホームページにも掲載されており、「看護の将来ビジョン」という形で紹介されています。このビジョンは2025年を目標に策定されたもので、来年にはいよいよ2025年を迎えることとなります。

2025年を見据え、私たちは「命と暮らしと尊厳を守り支える看護」というテーマで取り組んでいます。私たちの日々の活動を、ナイチンゲールも見守っているのではないかと感じます。これまでの看護は、病院を中心に「命」を守ることにチカラを注いできたかもしれません。しかし、これからは「暮らし」と「尊厳」に視点を移し、そこにチカラを発揮していきたいと考えています。

 

 

このお話を聞いて仕事への熱意、情熱が伝わってきました。厳しい状況でも人に寄り添う工夫を忘れず、現場で何が必要かを自ら判断し行動にしています。翻って自分はどうだろうか?

・どんなに苦しい状況でも、自分の持っている力を信じて行動できるだろうか?

・誰かが必要としていることに気づき、それに応えようと努力できるだろうか?

ふと考えてみるのも良いかもしれません。


         災害支援(2024年能登半島地震)


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