10回目となるIPWカフェは、大阪・福岡からの参加者も得て、「全国区」の会となりました。「自立(律)につながる住環境整備の取組み」と題した今回のミニレクチャーの講師は、幸手市で株式会社白石工務店を営まれている白石充さん。白石工務店では福祉用具の販売やレンタルも含めた福祉住環境の整備、いわゆるバリアフリー住宅に熱心に取り組まれています。
白石さんが福祉住環境づくりに力を入れるようになったきっかけは、脳梗塞を複数回患われたお客様から、終の棲家としての「離れの新築」のご注文をいただいたこと。「これまではリフォームだったので我慢したけど、今度は新築だからバリアフリーの家にしてね」といった軽い感じでのご要望だったようですが、これが白石さんには、なかなかのプレッシャーだったようです。
苦労の末「離れ」を作り上げて、お客様にも大変喜んでいただけはしたものの、白石さんの中には、「一人ひとりの状態や環境はそれぞれ違うのに、みな同じ『段差がなくて手すりがあるバリアフリー住宅』でいいのか?」などの疑念とともに「もっと学びたい!」との思いが募りました。
「障がい者や高齢者の家づくりに特化している会社の勉強会があるから参加してみないか?」と声をかけられた時には、社長として「経営的にやっていけるのか」との迷いもあったようですが、経営的にも成功させている会社さんの例や、これまで手掛けたお客様の喜ぶ顔を思い浮かべて飛び込んだのが、NPO法人・ケアリフォームシステム研究会(CRS)です。
○住環境と福祉用具を組み合わせて「脱衣所から浴槽まで」だったバリアフリーを、「寝室から浴槽まで」に広げられた事例
○部屋間の温度差が少ない住環境によって本人の健康状態も良くなり、庭を一人で散歩できるようになった事例
○進行性のご病気だったため、将来の身体状況を見据えたリフォームの提案を行った事例
など、CRSで学ばれた経験を活かした事例紹介を引きながら白石さんが強調されていたのは
◆建築の知識だけでは、真のバリアフリー住宅にはならない。
◆住環境と福祉用具を上手に組み合わせて、本人の自立(律)と介助者の負担軽減を。
◆「大手ハウスメーカの作るものなら安心」とは言えない。 病院にも内科・外科があるように、建築にも得意分野があって当たり前。
◆「その人」に合った住環境を提供するためには、医療・介護職との連携が欠かせない。
などで、あらためて「IPWは医療・介護分野で閉じていない」ことを感じさせるお話しでした。
今回のIPWカフェが「全国区」となったのは、白石さんに日本全国約50社からなるCRSのメンバーを誘っていただいたから。
中には病院勤務の理学療法士から工務店に転職された方もいて、みな、白石さんと同じ“問題意識”と“熱い思い”をお持ちの方々です。本来ならゲストではあるのですが、カフェの最後には一言ずつ「それぞれの思い」を語っていただきました。
これらを聞いて、他の参加者の方々も「自分がもし身体が不自由になってリフォームが必要な立場になったら、こういう知識・経験と情熱のある“匠”たちにお願いしたい」と考えたにちがいありません。
CRSこと、「NPO法人日本ケアリフォームシステム研究会」のホームページは、こちらからご覧になることができます。
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